ちなみに、この冬これまでに観た映画はここらで紹介してました。いや〜、この冬は沢山映画を観たなぁー:
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【1】ダラス・バイヤーズクラブ(原題:Dallas Buyers Club)★★★★★(5つ星中)
これはこの冬で最高傑作の映画。全員、観るべし!主役を演じるマシュー・マコノヘイが、HIV感染者を演じるために激やせしたので話題だったのだけど、それ以上に彼の演技とかストーリー(実話に基づいてる)に心を打たれた。
この左側の写真は、映画「マジック・マイク」でストリップダンサーを演じたとき?そして右側が、「ダラス・バイヤーズクラブ」で激やせした彼。同じ人物とは思えないね。
ゴールデングローブ賞で、助演女優、じゃなかった助演男優賞を受賞した Jared Letoもよかった。もちろん、マコノヘイも主演男優賞を受賞してダブル受賞。アカデミー賞もこの二人で決まりでしょう。ダントツ。
この実話に基づいた映画は、ストレートのカウボーイ兼電子技師のロン・ウッドルーフが、HIVに感染した女性との性交渉で自分も感染してしまうことからストーリーが始まる。(以降、ネタバレ注意。)
医師に診断されたとき、彼はすでに末期症状で余命わずかと宣告されてしまう。そんな運命を受入れきれないロンは、図書館に入り浸り、最新のエイズ治療法や薬について徹底的に調査をする。そして、最新の薬が、アメリカ国内では政府未承認のために手に入らないことに愕然とする。
そこでロンは、テキサスから国境を超えてメキシコに渡り、そこでもぐり(?)の医者と出会うことで運命が変わる。メキシコで投薬を受けて体調が回復したロンは、医師から大量の新薬と専門知識を入手し、テキサスに戻ってエイズ治療薬の「販売」を始める。
この映画では、ロンが、開拓者魂あふれるカウボーイであることを終始、見せつけてくれる。例えば、ロンは、アメリカ国内で治験に利用されている試験薬が、実はエイズ末期の患者には全く効かず、むしろ死を早めているということを自分の体で経験し直感的に見抜いている。遅々として進まないアメリカ政府の新薬承認プロセスや、効果のない試験薬。そんな怠慢な役所に、自分の命を預けるわけにはいかないと彼は強く思った。
だから彼はアメリカの医師と真っ向から対立し、テキサスのモーテルで効き目のある新薬やプロテイン、ビタミン剤を販売し始める。しかし、表向きには、あくまで「会員制」を取る「ダラス・バイヤーズクラブ」。メンバーは、「会費」として400ドル払い、その「おまけ」として新薬が「無料で」提供される。そんな噂をききつけた患者たちが、一気にモーテルに押し掛けてくる。
そして当然、予想されるべくして起こる政府からの捜査と圧力。死が目前に迫った人間が、わらをもすがる思いで始めた行動。そして彼の新薬で生き延びられている何百人という患者。それを政府当局は、「違法行為」の一点張りで摘発に躍起になる。最後は、司法の判断に委ねられる——。
エイズが蔓延しはじめた当初、人間の根源的な「生きる権利」が、官僚や医者たちの怠慢によってこれほどまでに蹂躙されていたというのを知って、怒りがこみ上げてくる(これを見ると日本もアメリカも同じね)。でも、そんな人災の中、フロンティア・スピリットで自分の運命を切り開いていったロンに喝采を送りたい。彼は確実に、新天地を自分の手で開拓した本物のカウボーイだった。
【2】ブルージャスミン(原題:Blue Jasmin)★★★★
ウッディー・アレン監督の作品。彼の作品は当たり外れが大きいけど、これはアタリ。
ニューヨークで、金融取引で財を成した男性と「玉の輿」結婚を果たしたジャスミン(ケイト・ブランシェット)が主人公。彼女はこれでゴールデングローブの主演女優賞を獲得。アカデミー賞も取るのはほぼ確実というくらい、彼女の演技はピカってました。(以下、ネタバレ注意。)
彼女には、サンフランシスコに住む妹ジンジャーがいるのだけど、二人とも孤児として養父母に引き取られて育てられたため、血のつながりはない。「優秀な遺伝子」を受け継いだ姉ジャスミンは、金持ちと結婚し、ニューヨークの上流社会に仲間入りを果たしたものの、妹は一度結婚に失敗し、今付き合っている男性も労働階級の負け犬。
そんなジャスミンの運命が変わるのが、夫の浮気と、実際にニューヨークでバーナード・ローレンス・マドフ(Bernard Lawrence Madoff )によって引き起こされた事件を彷彿とさせる巨額詐欺事件。ジャスミンの夫が関わっていた巨額詐欺事件が明るみに出たことで、ジャスミンは一夜にして財産も社会的ステータスも失ってしまう。
そしてジャスミンが転がり込んだ先が、妹が住むサンフランシスコの家。そこでどうにかどん底から這い上がろうとするジャスミンは、妹にも負け犬ではなく勝ち組の男を見つけるように吹聴する。そして二人は、とあるパーティーで、それぞれ勝ち組の男を見つけるのだが、、、。
ウッディー・アレンの脚本家としての欠点は、一人個性の強いキャラクターを作り上げるのには長けてるのに、その周りで展開する登場人物がすべてウソっぽくって、あとから取ってつけたようなお飾りになってしまうこと。ジャスミンは、とても濃いキャラで成功して、しかも名女優ケイト・ブランシェットがはまり役なんだけど、残りのキャラが全てウソっぽい、、、。ケイト・ブランシェットの演技とキャラのおかげで★4つ。
【3】「ウルフ・オブ・ウォールストリート」★★★☆
『ギャング・オブ・ニューヨーク』『アビエイター』『ディパーテッド』『シャッターアイランド』に続いて、これまたマーティン・スコセッシ監督とレオナルド・ディカプリオが組んだ映画。
この映画の印象を端的に表現するなら、去年公開されたディカプリオ出演の映画、『華麗なるギャツビー』(またはチャーリー・シーンが主演した映画『ウォール街』)のコメディー版。ニューヨークで飛ぶ鳥を落とす勢いの詐欺師金融マンの、退廃的で破天荒なライフスタイルをコミカルに描いてる。
ウィキペディアにも、「ジョーダン・ベルフォート(英語版)の回想録『ウォール街狂乱日記 - 「狼」と呼ばれた私のヤバすぎる人生』を原作とした伝記・コメディ映画」とある。これって実話に基づいてたんやー。余計に恐ろしいわ。(以下、ネタバレ注意。)
この下の写真は、妻に浮気を疑われ、その腹いせとして、セッ0スの「お預け」を食らっているディカプリオ。「タイタニック」とかカッコいい役ばかりを演じてきたディカプリオ・ファンにとっては、幻滅してしまうシーンの連続に笑えないかも。あと、冒頭部分だけにマシュー・マコノヘイも(友情)出演してる。彼のキャラも笑える。
金、女とくれば、当然、ドラッグというのがアメリカのバブリーなバンカーの「三種の神器」。ディカプリオ演じるジョーダンは、とある強力なドラッグを試すために「準備」をするのだけど、それが「腸内洗浄」。なんで?って僕も観ながら頭の中が一瞬『?』マーク。多分、強すぎる薬のせいで気絶したり「おもらし」してしまうことがあるから、その予防策として洗浄するシーンがあったんだと思うわー。
その他にもグロいシーンが山ほどあって、一緒に見に行った友達が、「一本の映画の中で"Fxxk"っていうセリフがこんなに沢山出てきた映画は初めて見た」と言うくらい、下品な内容です、、、。たぶん、日本語の字幕では全部訳されてないから、お下品さは軽減されてると思うけどね。
特にジョーダンの親友かつ同僚を演じる脇役がグロかった。パーティー会場で良い女をみかけると、突然その場でしごき始めたり、オフィスの全員の前で放尿とか、、、。頭狂ってるよね。
あと、映画としてはちょっと長過ぎね。途中で中だるみのシーンがいくつかあって、「このシーンいる?」っていう編集の甘さがやや目立つ作品だったよ。
ディカプリオが演じるエログロなコメディー役に失笑したい人にはオススメ。ディカプリオ・ファンは、彼に幻滅する覚悟をしてから見るように!
【4】her/世界でひとつの彼女(原題:Her)★★★
これもゴールデングローブ賞で脚本賞を受賞した話題作。日本での公開って6月28日なのね。遅っ!
未来のロサンゼルスが舞台という設定で、地下鉄が整備され、高層マンションに暮らしたり、へそ上まであるズボンのファッションとかが新鮮。近未来を想像させてくれる作品。
ホワキン・フェニックスが、最愛の妻と離婚して一人うら寂しく暮らす独身男性セオドアを好演してる。
そんな男やもめが、眠れず人肌恋しい夜を過ごす中、寂しさを紛らわすために開発されたばかりの人工知能OSを購入する。彼女の名前はサマンサ。
常に学習する機能があり、カメラでこちらを「見る」こともできるサマンサ。どんどんセオドアの心の扉を開き、二人は恋人関係に発展する(サマンサの声を演じているのは、スカーレット・ジョハンソン)。iPhoneのsiri機能がある今、この設定がそんなに遠い未来には感じられない。
SF映画で金字塔を立てた『ブレードランナー』の原作、『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』に登場する人工知能(アンドロイド)の系統を受け継ぐSF作品。
人工知能は、どこまでヒトに近づけるのか?という疑問を投げかける哲学的SF恋愛ストーリーに仕上がってる。それと同時に、人間に近づく人工知能に、ヒトはどう関わって行くべきか?という問いも投げかけてる。
ただ、2時間6分っていうのは長すぎるわ。(以降、ネタバレ注意。)
この映画って、終始、他人のテレフォンセッ0スを聞かされてる感じなわけよ。サマンサには肉体がないわけだから、二人のセッ0スはもちろん声だけ。
あと、相手が人工知能になったっていうだけで、所詮カップルの恋愛話を聞かされてるのに似た感覚に陥る。初期のアツアツな感じから、しばらくして3Pに挑戦、そして浮気、嫉妬そして危機の到来、破局っていう、結局は普通の男女の恋愛と同じじゃん!っていうオチ。
この映画を観て思ったのが、もしサマンサの男版で、心の隙間を満たしてくれる完璧な人工知能カレシができたら、、、 でもやっぱテレフォンセッ0スだけじゃーね。ヾ(≧▽≦)ノ
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