2011年1月8日土曜日

性的嗜好か性的指向か?Sexual Preference or Orientation?

去年、オバマ政権が、同性愛の兵士が従軍することを原則禁止してきたDon't Ask Don't Tell法案がついに廃止というニュースをお伝えしました。それをお伝えした直後に、読売新聞でも同じニュースを報道してたのだけど、その記事の中で「性的嗜好(しこう)」っていう言葉を使っていたのにすごい違和感。正直に言うと、むしろ反感すら覚えました。

アメリカ国内でも、一時期、ゲイたち自身もsexual preference(性的嗜好)とするべきか、sexual orientation(性的指向)とするべきか、議論が行われていたんだけど、今じゃ、sexual orientationで落ち着いてきてる。今回のDon't Ask, Don't Tell法の廃止ニュースでも、sexual orientationという用語を使って報道しているサイトが780件なのに対し、sexual preferenceという用語を使っているのはわずか65件。

やっぱり、sexual preference(性的嗜好)って、「後天的に自分の意思で選択したもの」、っていう意味を含んでしまうからだと思う。日本語でも、「嗜好」か「指向」かについて深い議論をしているブログがあって、指向と嗜好の両方に賛否両論があるみたいだけど、もうこれからは「性的指向」で統一しちゃっていいんじゃない?

嗜好の定義は「ある物を特に好み、それに親しむこと。好み。主に飲食物についていう。「―が変わる」「日本人の―に合う」」とある。使用例にあるように、「嗜好が変わる」っていう使い方があるんだよね。だけど、性的嗜好はそんなに簡単に変わるもんじゃないでしょう。変えようと思って変えられるものじゃないし、僕個人の意見としては生まれつき、先天的な影響が大きいと思う。それに、「嗜好品」っていう言葉の定義は、「栄養をとるためでなく、その人の好みによって味わい楽しむ飲食物。茶・コーヒー・タバコ・酒など」なんだよね。本来の目的(栄養摂取)を達成しない、「その人の好みによって味わい楽しむ」行為っていう、一歩間違えると「不必要なもの」と否定されかねない危険性がある。そもそも、嗜好って「主に飲食物についていう」ってあるじゃん。性的対象は飲食物とは大きく違うと思うんだよね。

英語でも、preferenceという言葉には、自分の意思で選択して好む、という意味が込められるから、sexual preferenceという言い方は、ゲイを理解していない差別的な言い方、と認知されてきてる。なので、sexual orientationっていう言葉が差別的ではない、正しい理解として定着してきてる。ニュースなんか見てても、アンチ・ゲイで保守派の人が、よくsexual preferenceっていう言葉を好んで使ってるよ。

とにかく、日本の三大紙のうちのひとつ、読売新聞で、「性的嗜好」が使われてるっていうのに驚いた。WikiPediaによると、「性的な行動に関係する好みを表す性的嗜好も広い範疇の性的指向(性愛における性別の対象傾向のみに限定しない広い範疇をも性的指向と捉えたもの)とする考え方がある」そうな。また、「区別を曖昧にしている一因に、「口語において発音が同じなのでどちらを示したのか区別がつかない」「書面では誤変換が多い」といったように、同じ「しこう」という言葉であることも挙げられる」ともある。でも、WikiPediaにある別の説明では、ちゃんと「対象の性別についての方向性に関しては特に性的指向と呼び、通常は性的嗜好には含めず分けて扱う」と正しい説明が書かれてました。

今後は皆さんも「性的指向」と「性的嗜好」を混同なさらないようにね。よりpolitically correctな言い方は「性的指向」だから。

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