2014年7月29日火曜日

【感想】映画『Eastern Boys(イースタン・ボーイズ)』がオススメ

2013年のベネチア映画祭でオリゾンティ賞(最優秀作品賞)を受賞したフランスの映画『イースタン・ボーイズ(原題) / EASTERN BOYS』を見たよ。もちろん、ゲイがテーマ。

50代のフランス人男性ダニエルが、東欧からの不法移民のルスラン(源氏名はマレック)に恋する話。ルスランの年齢は明かされないけど、下の写真でもわかるとおり、明らかに10代後半なのね。


パリの北駅は、東欧からの不法移民の少年たちのたまり場。そこで男娼として客を探す男の子と、彼らを狙ってくる中年オヤジたちの風景から映画は始まる。

ダニエルが何回くらいこの場所に通って、どれくらい東欧の少年たちを買ってきたのかは分からないけど、まだデビューしたてと思いたい。ダニエルには別れた元カレがいて、たぶん、その寂しさを紛らわすために北駅に来たんじゃないかと。。。



***これからネタバレになるので映画を楽しみたい人はここでストップ!***



一方、ルスランはというと、男娼家業に慣れた感じで「1回50ユーロ」と自分の値段を告げる。

後日、ダニエルが自宅でルスランがやってくるのを待っていると、招かれざる客がドアの前に立っていた——

ルスランが、同じ東欧からの不法移民少年ギャングたちに情報を漏らし、ダニエルの高級マンションに大挙して押し掛けてきた。不意をつかれたダニエルは唖然とするばかり。少年を買ったという負い目があるダニエルは、なされるがまま。少年ギャングたちは、ダニエルの高級家具やテレビ、コンピュータなど、マンションにあるもの全てを持ち去って行ってしまう。

少年たちの中にルスランを見つけ、裏切られたという感情と、まだ信じたくないというないまぜになった感情で彼を見つめ続けるダニエル。

がらんどうになった自宅のソファーで一夜を明かし、いつも通り出勤していくダニエル。すると、後日、ルスランが今度は一人でやってきた。

「50ユーロね」

ギャング仲間たちと、「美人局(つつもたせ)」詐欺を働いているルスランだから、実際に客の男たちと寝る必要はないのに、わざわざ別の日に、ダニエルの自宅に戻ってきた彼。これは、色々な客を見てきたルスラン自身が、中年男ダニエルに魅力を感じてたからじゃないかなと思う。

そして、それは1回に終わらず、「週に2回は君に会いたい」というダニエル の希望で、二人の密会は定期的なものに。

とあるベッドシーンでは、「君はとても美しい」と、フランス語でダニエルに優しく語りかけられ、思わず笑みがこぼれるルスラン。そして、ダニエルの優しさに徐々に心を開いていく、、、 。

 しかし二人の幸せな生活の前に、ギャング仲間のボスが立ちふさがる。

中年オヤジのダニエルが、ボスに捉えられた姫(ルスラン)を救出するシーンではサスペンス映画のような息をつかせない展開。

だけど一番の見所は、一人で異国の地(フランス)に不法入国し、現地の言葉も話せず社会の底辺ではいつくばって生きてきた少年が、頼りがいがあるずっと年上の男性に心を開いていく過程。これが自分の経験とオーバーラップ。

アジア人で白人好き(しかもこれまでほとんどが年上ばかり)としては、やっぱ年上の包容力あるダンディーな男性に心ほだされるルスランの気持ちが手に取るようにわかるわー。

一方、ダニエルの心の変化にも注目。最初は性的対象として見ていたルスランに対して、徐々に彼を遠ざけるようになる。

「もうオレとファックしたくない?」と、自分に興味を失っているように見えるダニエルに、ルスランは詰め寄る。

ダニエルの複雑な心中を察すると、その厳しい決断には大きな愛情が隠されていることが分かる。

こちら映画の予告編(フランス語だけど、、、)。


これは英語の字幕付き。ダニエルがルスランにフランス語を教えてるシーン。こんな感じで優しく外国語を教えてくれるカレシなんかいたら、やっぱ惚れてまうやろー。


おまけ『The Face of Love ザ・フェイス・オブ・ラブ(原題)』という2013年公開の映画もよかった。これはゲイ映画じゃなく、中年男女の屈折した愛の物語。



5年前、旅先のメキシコでの不慮の水難事故で夫ギャレット(エド・ハリス)を亡くしたニッキ(アネット・ベニング)。夫を忘れようとするも、まだ心の傷は癒えてない。そんなある日、夫がよく行っていたロサンゼルスの美術館に立ち寄ったニッキは、そこで夫に瓜二つの男性トムに出会う。

建築家だった夫と同様に、トムもまた大学で美術を教えるアーティスト。夫の生き写しのトムに戸惑いながら、夫との楽しかった日々をなぞるように、ニッキはトムを夫との思い出の場所に連れて行く、、、。

ロサンゼルスを舞台にした映画なので、土地勘がある人は、さらにいっそう楽しめるよ。例えば、ロサンゼルス・カウンティー・ミュージアム(通称、ラクマ=LACMA)が出てくるし、トムが教鞭を取る大学は、ロサンゼルスの東にある有名私大、オクシデンタル・カレッジ。

ちなみに、この映画の主演女優 アネット・ベニングがレズビアン役をした名作、The Kids Are All Right(2010年)も、ロサンゼルスが舞台でした。(ここで紹介済み。)

こちらが『The Face of Love ザ・フェイス・オブ・ラブ(原題)』の予告編。


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