2007年4月8日日曜日

オリエンタリズム再来 Revisiting Orientalism - Criticism of The Movie "300"

久々に映画を見に行ってきた。見たのは、『300』。


古代ギリシャ時代のスパルタが舞台で、ペルシャの大軍に対して、スパルタはたった300人の兵士で立ち向かうというテルモピュライの戦いを描いた歴史上のお話。

ハリウッドの有名俳優が一人も登場しないこの映画は、コマーシャルもあまり打たれてなかったのに、3月に封切りしたときは興行収入1位を記録して、4月6日現在、売り上げは推定1億8800万ドルの大ヒット。(日本でも、この夏に公開されるらしい。)

そういう話題性と、出てくる俳優たちが筋骨隆々で、しかもほぼ半裸状態っていうので、僕も釣られてフラフラッと(女性のMさんと)見てきた。

見た感想を一口に言うと、良かったのは役者の身体だけ。ストーリーは最悪でつまんなかった。マジ、これでもかって言うくらいつまんないストーリー。

だけど、全員、腹筋が6パックに分かれてる人たちばっかりが登場して、しかも彼らが常にふんどし一丁のいでたち。これを見るだけでも行く価値あるかも・・・。Mさんとも、見終わった後、主人公のスパルタ国のKingがかっこいっていうので意見が一致。あと、「敵国、ペルシャの王ってゲイだよね」っていうのも同意見でした。









Mさんも、このスパルタ兵のふんどし姿に興奮気味。映画を見終わったとき、「撮影現場ってどんな感じだったんだろうね」という話題に。シラフであのふんどし姿は役者といえども恥ずかしいんじゃないかっていう予想だったんだけど・・・。

この撮影風景を見る限り、普通にしてるよね。でも、周囲の撮影スタッフの着てる服とのギャップが笑える。



左右の男性は役者で、真ん中の背が低い人が映画監督。監督もカッコいい。右側が、主人公のKing役をしたイギリス人俳優。


ただ、ストーリーが、単にヒドイんじゃなくて、ものすごくヒドイのに幻滅。

スパルタ=白人社会=正義
ペルシャ=非白人=悪

という単純な勧善懲悪の図式になってる。ペルシャ軍には、黒人、アラブ人、そしてモンゴルからやってきたようなアジア人の悪者たちが入ってる。しかも、異人種だけじゃなくて、手が鋭いナイフの化け物や、ガーゴイル風の巨人、はたまた、お面を付けたゾンビなんかも登場して、Mさんも「化け物サーカスみたいだったよね」という感想。

それにペルシャ軍を率いる王が、これまた超巨大で、体中にアクセサリーやピアスをしたオネエ風なキャラ。


多様な価値観に対して寛容になることこそが現代社会の価値観なのに、そんな人類の進歩は幻影だったと思わせるようなアナクロニスティックな内容になってる。

こういうストーリーの通例のごとく、スパルタを裏切るキャラクターも登場するのだけど、彼を誘惑するシーンでは、ペルシャ王の王宮で繰り広げられる性的シーンが描写されていて、女性同士のキスシーンや退廃的なシーンがちりばめられていた。いわゆる、エドワード・サイードが言ったオリエンタリズムってやつを踏襲してた。

オリエンタリズムとは
サイードは歴史を通して西洋が、自らの内部に認めたくない資質をオリエント(東洋)に押し付けてきたとし、東洋を不気味なもの、異質なものとして規定する西洋の姿勢をオリエンタリズムと呼び、批判した。

オリエンタル(東洋、東洋的、東洋性)は、西洋によって作られたイメージであり、文学、歴史学、人類学等、広範な文化活動の中に見られる。それはしばしば優越感や傲慢さ、偏見とも結びついているばかりではなく、サイードによれば西洋の帝国主義の基盤ともなったとされる。

オリエンタリズムの一種としては、東洋、あるいは自らよりも劣っていると認識される国や文化を、性的に搾取可能な女性として描く、といった傾向も指摘されている。具体例としては、イメージの一人歩きしているハレムや、ゲイシャ、そして、最近の作品では『ミス・サイゴン』や、ディズニー映画の『ポカホンタス』などにもオリエンタリスティックな視点が見られる。
(ウィキペディアより引用)

*補足説明: 古代の「オリエント」は、ヨーロッパの東側、つまりペルシャや今のトルコ、イランがある中東地域などを指します。ウィキペディアによると、北アフリカやエチオピアまで含むみたい。今でこそ、東洋(オリエント)って日本を含む東アジアを指す言葉になったけど、もともとはヨーロッパ人にとって異教徒の隣国をひっくるめて指す言葉でした。「オリエンテーション」の語源になっているorient(正しい方向に合わせる)という単語も、交易をしていた西洋人がそうした異教徒の国(オリエント)へ行くというのが由来だとか。
■ ■ ■

この映画300も、まさにオリエンタリズムそのもの。

同性愛なんて、古代ギリシャ時代ではまかり通ってたことなんだけどね。古代ギリシャ遺跡を発掘すると、男性同士の性交渉を描いた壺や壁画なんかがわんさか出土するらしい。なのに、この映画では、スパルタを、キリスト教の倫理観が植えつけられた現代白人アメリカ社会の理想像っていう形で描ききっていてるからエグイ。スパルタでの同性愛なんて存在しないかのように一夫一婦制の異性愛だけが強調されて、同性愛はペルシャの文化ってな具合に押し付けてた。

歴史的事実を歪曲して、現代の偏狭な価値観の型にはめて描ききってるんで、よくここまで無知な作品が作れるなぁって僕は呆れてしまった。映画館の客層にも、ゲーム好きで頭空っぽな郊外在住白人ティーネージャー風が多かったのにも納得。


お口直しに・・・

最近見た別の映画で傑作だったのは、Stranger than Fiction(邦題:主人公は僕だった)という作品。

日本では5月から公開されるらしい。僕はDVDで見ました。主人公の俳優ウィル・ファレルがコメディアンなので、てっきりコメディーかと思ったら、シリアスだったのが意外性をついていた。それだけじゃなくて、文学理論がちりばめられていることや、平凡な人生を打ち壊す勇気をくれるストーリーになっていて、日常を生きることを考えさせられる作品。

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