昨日のロサンゼルス・タイムスに掲載された記事でこのことが取り上げられてた。なぜゲイは生まれるのかについて、最近の医学的研究成果も紹介されてて興味深い内容だったので紹介します。
シンシア・ニクソンが、自分は「選んで」ゲイになったと発言。ゲイは本当に選んでなるものか?
2012年1月25日
Los Angeles Times/For the Booster Shots blog
Karen Kaplan著
テレビドラマ「セックス・アンド・ザ・シティー」のスター女優、シンシア・ニクソンが、彼女は「選んで」ゲイ(同性愛)になったと発言した。このことは、人は自分の性的指向を選んでいるわけではないと主張しているゲイの人権活動家たちを苛立たせている。
これはニクソンが、New York Times Magazineへのインタビューで最近語った内容だ:
「最近、私はゲイの聴衆を力づけるためのスピーチをしたの。そのスピーチの中に、「私はストレート(ヘテロ)でありかつゲイであり、ゲイのほうが(私にとっては)より良いことだった」という一文が含まれてたの。だけど主催者側の人達は、この一文を私に変えさせようとしたわ。彼らが言う理由は、それが同性愛は人が選ぶ選択肢だという可能性を暗示しているからというものなの。私にとって、同性愛は選択肢なの。多くの人達にとっては選択肢じゃないっていうことは分かっているのよ。だけど私にとっては選択肢なの。私がどれくらいゲイ(同性愛者)かということを他人には決めさせないわ」。
性的指向が生まれつき(先天的)か育ち(後天的)によるものか―もしくはその組み合わせか―という議論は、何年にもわたって熱く議論されてきた。もし性的指向が変えることができる特徴だとすれば、ゲイの人たちはどうにかしてストレート(異性愛)の人に変わることができることを意味する。別の言い方をすると、同性愛は「治癒」することができるというわけだ。このことは、ゲイであることがある種の病気であるということを示唆する。
そのため、こうした意見(ゲイは選んでなるものという考え)は侮辱した行為として取られる。
ニクソンは、彼女の発言が議論を巻き起こすかもしれないということを予測していたようだ。彼女は、New York Timesに次のようにも語っている:
「私たちの(ゲイ)コミュニティーの一部分の人達は、「同性愛が選択してなるものではないと考えられるべき」ってことに躍起になってるわ。だってもしゲイというのが自分の意思で選んでなるものなら、私たちは同じように選択してそうならないっていうことも可能なわけだから。私は、そんなことは重要じゃないって言ってるの。私たちがここ(同性愛という状態)に飛んできたのか泳いできたのかは問題じゃないの。私たちはここにいて、私たちは一つのグループであり、私たち自身がリトマス・テストして誰がゲイで誰がそうじゃないかを決めるのをやめさせるということが重要なのよ」。
彼女の顔は紅潮し、腕は大きく揺れていた。
「あなたが分かるように、私はこの問題についてとても苛立たしいの。なぜ同性愛は選択肢にはなりえないの?どうして選択してなるっていうことが本物のゲイじゃないっていうことになるの?私たちはこの点について偏見を持つ人達に譲歩しちゃっているように見えるわ。私は、そうした偏見を持った人達に議論の条件を決めさせるべきだとは思わないの。それと、私が雲の上をフワフワ歩いていて、自分がゲイだとは気が付いていないと人は思っているみたいだけど、それってとても侮辱的だわ。それって私に対する侮辱よ。そして、私がこれまで付き合った男性全員に対する侮辱でもあるわ」。
予期された通り、彼女の発言は誰にとってもすんなり理解できるものではなかった。AmericaBlog Gayというブログで、John Aravosisは、次のように書いている。「ニクソンは、自分が発言する言葉をいかに慎重に選ぶかということを学ぶ必要がある。なぜなら、彼女は、極右の保守派たちが仕掛けた罠に喜んではまってしまっているからだ。宗教右派がゲイは選択してなるものと言うとき、彼らはゲイが文字通り自分たちの性的指向を選んでなっており、自分の意思でそれを変えることができることを意味している。でもそれはナンセンスだ」。
それでは、性的指向は生物学的に決められた特徴なのか、それとも実際に人の選択によるものかについて、科学的な証拠は何を示しているのだろうか?
雑誌Investigacion Clinicaに2009年に出版されたスペインの研究では、遺伝的な影響がある証拠についてまとめている。一卵性双生児、二卵性双生児、そして養子の兄弟たちを比較調査したところ、科学者達は人がゲイになる可能性のうち27%~76%はDNAによって決定されると結論付けている。この研究によると、遺伝的影響は、女性よりも男性に強く表れるという。
人の性的指向へ影響をもたらすその他の要因については、おそらく子宮内で起きている。医学雑誌Endocrinologyに昨年発表された論文では、子宮内で異常なレベルのテストストロン(男性ホルモンの一種)やその他のステロイドにさらされることが、一部の人がゲイになる要因になっているだろうと説明している。また昨年Frontiers in Neuroendocrinologyに発表された別の論文でも、同じ点が以下のように指摘されている:
「少なくとも数人の被験者に関してであるが、出産前にテストストロンへさらされることが、生まれてくる子供の性別の発達においてある種の役割を果たしていること、そして子供たちが成長した段階で自覚する性的指向に対しても決定する役割を果たしていることを、証拠は示している。しかし、ホルモンだけではなく、その他の要因が性的指向を決定づけるのに重要な役割を果たしているようだ。これら要因は、うまく特徴づけられてはいないが、可能性としては、直接的な遺伝的効果、妊娠中の母親からの影響などが考えられる」。
これら出産前の影響の一つに、母親の胎内で男兄弟が何人妊娠していたかということが可能性として挙げられる。奇妙に聞こえるかもしれないが、カナダの研究者たちが、「一人以上の兄がいる弟は、成長してゲイになる可能性が飛躍的に高まる」ということを発見した。これは私が2006年にロサンゼルスタイムズ紙で紹介している。当時、私が執筆したのは、「いわゆる男兄弟の何番目に生まれたかという影響(fraternal birth order effect)は小さい。一人兄がいるごとに、弟がゲイになる可能性は33%増える。もし一般的に生まれてきた男性がゲイとなる確率が2%だとすると、11人の兄が生まれた後に誕生する男の子がゲイになる可能性が、ようやく50%になるという程度だ」ということだ。こうした発見は、Proceedings of the National Academy of Sciencesに報告されている。
さらに、私の同僚Shari Roanは、「congenital adrenal hyperplasia」と呼ばれる珍しい症状についての治療に関して、興味深い議論が行われていることを執筆している。この症状は、女の子でありながら男性に見える性器を持って生まれる原因となっており、生まれてすぐ、赤ちゃんの性別を見分けることを困難にしている。一つの治療法としては、(赤ちゃんが生まれた後)次に生まれてくる子供が同じ症状になるリスクを下げるため、母親が妊娠中に、女性ホルモンを投与することである。しかし、この治療には普通ではない副作用があることを医師たちは発見している。私の同僚Shari Roanは次のように書いている:
「この治療法は、この状況で生まれてくる女児が同性愛になる可能性を下げるようだ。さらに、この治療法により生まれた女児は、より女性的な行動的特徴を持つ可能性を高めるように見える」。
これは氷山の一角にしかすぎない。しかし、科学的に一致した意見というのは、同性愛ということに対して生物学的なベースが実際にあるようだということである。ただし、必ずしも100%、遺伝子、もしくは環境的要因のどちらかによって決定づけられるというわけではない。
◆ ◇ ◆ ◇
この記事を読んで、ゲイ、レズビアン、バイセクシャル、トランスジェンダーのみなさんはどう思った?自分は生まれつきだと思う?それとも後天的に自分の意思で選んでそうなったと思う?
Create your free online surveys with SurveyMonkey, the world's leading questionnaire tool.
0 件のコメント:
コメントを投稿