2011年9月11日日曜日

9/11を忘れないための映像資料サイトが開設 Understanding 9/11--A Television News Archive is Launched

2001年9月11日、あなたはどこで何をしてましたか?

あれから10年も経過するなんて。アメリカ人の70代のおばあさんと数年前にお話をしたとき、彼女が、「これからのアメリカ人の子供たちは、アメリカが無垢だった時代をもう生きてはいけないかと思うと不憫で・・・」って語ってたことを思い出す。


アメリカのテレビニュースなんかでは、アメリカの領土が敵国から攻撃を受けた日、というので、第二次世界大戦時のハワイの真珠湾攻撃がよく比較対象として引用される。昨日9月10日のNBCニュースでも、アナウンサーのブライアン・ウィリアムスがまたこのことを引き合いに出して(うざっ!)、「パールハーバー攻撃がアメリカ人にもたらしたインパクト以上に、9・11はアメリカ人にインパクトを与えたと思うか?」と質問。これに対して、彼の前任のアナウンサーだったトム・ブロコウは、「そうは思わない」と即答。「パールハーバー以降、アメリカ人は総出で節約をしたり戦争に必要なものを生産したりと全員が参加した。しかし、9・11以降、兵士は戦場に送られたが、残るアメリカ人は普通の生活をしている。そこが大きな違いだ」と。でもそれって思いっきりポイントがずれてないかい?





9・11って、やっぱりアメリカ最大の都市の象徴的なビジネスビル(民間人)を大量に狙ったという意味で、テロ行為だし、無差別テロということで悲惨だよ。トム・ブロコウは第二次世界大戦を体験してるから、パールハーバーを実体験した人とそうでない僕というのでは議論がかみ合わないかもしれないけど、明らかな敵国というのがわかって戦った戦争より、9・11みたいに国境を越えて増殖していく終わりの見えないテロリスト相手の戦いは根本が違うと思う。そういう意味で、9・11のほうがアメリカ人に与えたインパクトは大きい。実際、パールハーバーを体験してる70歳のおばあちゃんだって、9・11のほうがアメリカ人の子供たちにとってはインパクトをもたらす不幸だと思ってるわけだし、リアルタイムでテレビ中継され、パールハーバー以上に多くの人が「参加・目撃」した攻撃と言う意味でも9・11のほうがインパクトは大きい。

アメリカ国民の冷静な人たちは、「自分たちをここまで憎む人たちがこの世にいる、というその理由が知りたい」と思うようになってるって当時のニューヨークタイムズの新聞記事なんかでも報じられてた。血気盛んな保守派や好戦的な人たちは、戦争だ!って騒ぎ立ててブッシュ大統領もその一派だったけど、冷静な知識層は、ここまでアメリカという国を恨む人たちを、アメリカが作ってしまったということは、これまでのアメリカの外交や政治に問題があったのでは?と考えてる。とてもまともな反応だと思う。あいにく、そういう声はアメリカでもメディアとかにはなかなか表に出てこないんだけど。でも、そういう個人レベルでアメリカを憎悪する人たちが生み出されてるという事実を考えても、パールハーバーより9・11のほうがよっぽどインパクトが大きいと思う。そこに気が付いてないトム・ブロコウ、やっぱ引退してモウロクしてきたか。

話を元に戻すと、未だに空港のセキュリティーは厳しいし、何かと不審物がみつかっただの、テロ攻撃が計画されてるだの、日々ニュースをにぎわしてることからも、アメリカ人にとってテロ攻撃の対象になるっていうことが日常生活の一部になってしまってる。きっと、このアメリカ人のおばあさんは、彼女がアメリカで生きてきた70年間を振り返ってみて、テロ攻撃の標的になるかもしれないという底知れぬ恐怖や危険性が影のようにつきまとうようになるアメリカの将来を憂いていたのだと思う。

アメリカ人の子供たちは自分たちが引き起こしたわけじゃないのに、それまでの大人たちが行ってきた戦争や政治、外交のつけを背負わされるという不幸。そういう意味では、原発事故の被害も、負の遺産を日本の子供たちに背負わせてるんだよねぇ。日本に生まれてきた子供たちは、自動的に、自分の親以上の世代が作ってしまった負の遺産を背負わされるという不幸。9・11も3・11も、犠牲者を追悼するメモリアルであると同時に、僕にしてみると利己主義に走った大人たちが、その負の遺産をまるまる子供たちに背負わせたことが明らかになった「記念日」でもある。

その不幸な日を風化させないために、9・11のその前後から、全世界で報道された主要テレビニュースをすべてアーカイブしてインターネット上で公開するプロジェクト(http://www.archive.org/details/911/day)がスタートしたんだって。英語のサイトだけどNHKのテレビ報道もちゃんとアーカイブされてる。この映像を見返すたびに、あれからアメリカは政治がどれほどよくなったか、そしてアメリカをこれほど恨む人たちを作ってしまった原因を究明して、どれほど改善を図っているか、と僕らは問い続けないといけない。

0 件のコメント:

コメントを投稿

*このサイトで取り上げた内容を記事として転載・流用される場合は、本サイトのURLを情報元として併記していただけると幸いです。m(_ _)m If you would like to republish or mention the content found here, please include my website as a reference and/or source. Thanks!