2011年1月25日付のニューヨークタイムス(雑誌版)に、とても興味深いコラムが載ってたのでご紹介。久々に訳してみます。
変わりゆく「親」の定義
リサ・ベルキン
アンソニー・ラフトポルと彼の夫ショーン・ハーゴン・ラフトポルは、2008年4月、双子を授かった。そのとき、コネチカット州は、双子の出生証明書に二人の男性の名前を記載することを許可しなかった。
双子は、アンソニーの精子とドナーの卵子を受精させ、それを代理母が妊娠・出産して生まれた。このような状況を取り巻く法律は、50州の間で異なり、統一されていない。そしてコネチカット州は、その他の大多数の州と同じく、次の3種類の「親」しか認めていない。(1)その子供と遺伝的に父親と母親の両方が関係がある、(2)片親または両親がその子と養子縁組をしている、(3)人工授精によって生まれた子の親。片親には血縁(遺伝的関係)がない状況で親権を請求しているラフトポル家のようなケースでは、州法では養子縁組の手続きを取ることを要求していた。
こうした状況は、従来とは異なる家族にとって大きな溝を残したままであり、血縁のある親に何かあった場合、子供たちは法律上、孤児施設に送られてしまうという可能性さえある状況だった。ラフトポル家では両親ともアメリカ国籍であるも、現在、仕事の関係でアムステルダムに住んでいるという現状が、いっそう事態を複雑なものにしていた。アンソニーはABCニュースに次のように語った:
「私は外国で働いており、出張が多いんです。ショーンが子供たちと旅行すると、文字通り、彼は国境を越えて子供たちを人身売買しているように映ってしまうのです。ですから、彼は旅行するときはありとあらゆる書類を抱えて、子供たちを私から奪って誘拐しているのではないことを証明できるようにしています。ですが、今月初め、コネチカット州最高裁は、適正な代理母契約を結びその結果として子供を授かったカップル(裁判所は彼らのことを「intended parents(親になる意思がある人)」と呼ぶ)は、子との血縁に関係なく、生まれた時点からその子の法的両親であるという判決を下しました」。
新たな動きは、遅ればせながらも新たな法律を生んでいる。特に代理母出産は注目を浴びている。先月、エルトン・ジョンと彼の夫デービッド・ファーニッシュが代理母の協力で子供を授かった。今月はニコール・キッドマンと彼女の夫キース・アーバンが同様にして子供を授かった。しかし、本当の変化をもたらす人たちとは、我々のほとんどが聞いたこともないラフトポル家のような無名の人たちであったり、オーストラリアで先週、両親としての親権を勝ち取った無名の男性カップルのような人たちある。
このメルボルン在住のゲイカップルは、インド人の代理母に料金を支払い、カップルのうちの一人の男性の精子と匿名女性の卵子からなる受精卵を使って双子を授かった。そして彼らは、家庭裁判所に対し、血縁のない父親にも同等の親権を与えるよう請求。ポール・クロニン判事はこれを認めた。Herald Sun新聞によると、「この場合、この子供たちは母親という恩恵を受けることはできないが、二人の父親を得るという幸運に恵まれた。法律に関して、「親」という言葉はある生物学的な関係性を示しているが、、、生物学的なことは実際には重要なことではない。真に重要なのは、親としての責任問題に他ならない」、とクロニン判事は書面で発表している。
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世界で着々と進む、「intended parents(親になる意思がある人)」たちを認める法律。みなさんはどう思いました?日本の法律事情はどうなんでしょうか?向井亜紀さんの問題は記憶に新しいよね。ウィキペディアによると、「2007年3月23日、最高裁は、「立法による速やかな対応が強く望まれる」としながらも、東京都品川区の出生届の受理を命じた東京高裁決定を破棄し、受理は認められないとする決定をした。これにより、向井夫妻側の敗訴が確定した」だって・・・・。なんか日本って完全に遅れてるね・・・。
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