2012年1月22日日曜日

映画『ファミリー・ツリー』を観た感想-ジョージ・クルーニー主演 - Movie Review - 'The Descendants'

ジョージ・クルーニーが主演の映画、『ファミリー・ツリー(原題:ザ・ディッセンダンツ―The Descendants)』を観てきた。今月のゴールデン・グローブ賞でドラマ部門の最優秀作品賞(Best Picture - Drama)と、ジョージ・クルーニーが最優秀主演男優賞(Best Actor)を受賞したからますます見たいと思ってた映画。

ちなみに、日本語版の映画タイトルを調べてみたら、『ファミリー・ツリー』ってウィキペディアに書かれてた。英語の原題を敢えて別の英語で日本向けタイトルにするっていうのに驚いた。(*゚Д゚*)

しかも、2011年にはブラット・ピットとショーン・ペンが出演した『The Tree of Life』っていう似た名前の映画も公開されてたし、マイナーだけど原題がそれぞれ『The Family Tree』そして『Family Tree』っていう映画も2本(短編も入れると3本)、2011年に公開されてるんだよね。紛らわしい・・・。もっとうまい日本語タイトルがあったと思うんだけど・・・。

確かに、原題の『The Descendants(子孫)』っていうのは日本人に聞きなれない英単語だから、そのまま『ザ・ディッセンダン ツ』ってしても、ピンとこないタイトルっていうのはわかる。それを『ファミリー・ツリー(家系図)』ってしちゃったのはどうなんでしょう?と思ったなぁ。 昔って、うまいなぁって感じさせる日本語タイトルがたくさんあったよね。『風と共に去りぬ』とかさ。

Anyway... 日本語タイトルへの不満はさておき、映画はとっても素晴らしい出来栄えの家族ドラマだったよ。ジョージ・クルーニーの演技がピカイチだったし、子役たちの演技もよかった。悲しみの中に笑いも散りばめられてて、2006年の映画『Little Miss Sunshine』を彷彿とさせる雰囲気を醸し出してた。

映画のストーリーはというと、

「ハワイの広大な土地をハワイの先住民であった先祖から受け継いでいる裕福な一族がいる。そのメンバーで、一族代表として土地を管理するマット・キング(ジョージ・クルーニー)は、一族と相談して手つかずの自然が残る土地を開発業者に売却する準備を進めていた。そんな中、マットの妻がボート事故で入院し、意識不明の重体になる。これまで子育てにはあまり関与してこなかった父親マットは、突然2人の娘の面倒をみることになる。しかし、妻が不倫していたことが発覚。意識不明のままの妻を病院に残し、彼は二人の娘たちと長女のボーイフレンドを連れ、オアフ島からカウアイ島にいる浮気相手の男と直接話をするために『家族旅行』に出る」。

ストーリー展開の中で 長女も重要な役割を果たすのだけど、長女アレックス役をした女優Shailene Woodleyがキレイやったわー(写真右↓)。いかにもハワイにいそうな美人っていうの?長谷川潤に似てるかも。将来ナタリー・ポートマンみたいに有名女優になりそうな予感。


そうそう、マットの娘二人の名前が、アレックス(アレクサンドラの愛称)とスコッティーなんだよね。両方、普通は男の名前なのに、あえて両方の娘の名前を男によく使われる名前にした理由ってなんかあるのかね?別に映画のストーリーでは全く触れられなかったんだけど。

あと、長女のボーイフレンド役が笑いを誘うキャラになってた。けど、「後付け」っぽいキャラっていうの?本筋に笑いを散りばめるために作られた人工的なキャラっていうのが見え見えでやや不自然だったかなぁ。

例えば、自己紹介のシーンで、ガールフレンドの父親であるジョージ・クルーニーに、What's up, Bro(やぁ、ブラザー)ってヒップ・ホップ歌手みたいにカジュアルな挨拶をする場面がある(この予告編↓にも出てくる)。それに対して、マット(ジョージ・クルーニー)は唖然として、Don't ever do that to me again(それは二度としないでくれ)って言う。そういう「軽い」おバカキャラのはずが、後半、とても大人な言動をとって気遣いを見せるキャラになるのが、「こいつもええやつやったんやぁ」と思わせる反面、「ちょっとあの出だしのヒップ・ホップのキャラからは無理あるやろー」とも思っちゃったかな。あと、いつものことながら、英語で笑えるジョークを日本語に訳すのはほぼ不可能やろーなーとも思った。なので、日本語で映画観ると笑えるシーンは減っちゃってるかも。

こちら、映画の予告編。英語のみですが・・・。

ハワイつながりで、ハワイに住んでる有名なプロのサーファーLaird Hamiltonが本人役で出演してた。やっぱサーファーだから演技が下手で笑えた。セリフはあるけどチョイ役だからお見逃しなく~。

最後に、マットの一族は、カメハメハ大王の娘を祖先に持つ家系という設定になってる。カメハメハ大王から、彼の娘が西欧人の宣教師に嫁ぐ際、お祝いとして広大なハワイの土地を与えた、というのが映画で出てくる土地。でね、ハワイって今でも先住民がたくさん住んでるじゃない?だけど、結局、イギリス移民たちが作ったアメリカっていうアングロサクソンの国に飲み込まれちゃってる。それをこの映画は象徴してたなぁって思った。

カメハメハ大王の娘はハワイの先住民だけど、彼女の子孫は、映画の中で全員が白人化しちゃってるんだよね。ハワイに住んでるんだったら、アジア人の顔した親族が一人はいそうなのに、「親族会議」で集まる人達は全員が白人。しかも、ジョージ・クルーニーを含めた白人の役者たちが、真顔で「俺たちの祖先はカメハメハ大王の娘でこの土地で生まれ育った」とかって言ってるわけ。侵略者側のヨーロッパ人の顔を引き継いでいながら、アイデンティティーはハワイの原住民の先祖側にあるって、あんた・・・都合がよすぎじゃね?

皮肉った見方をすると、この映画は、結局、ハワイの歴史が白人化してしまったという侵略の歴史を美化する内容とも取れるんだよね。本土の白人アメリカ人たちが見ると、「ハワイもアメリカの一部や~。カメハメハ大王の子孫たちもこうしてハワイで子孫を残してるんやなぁ」っていい気分になれる。だけど、侵略された側のハワイの先住民の人達がこの映画を見たら、どう思うんだろうね。一人も先住民の顔を残した「子孫」が映画に登場しないのを見て違和感を持ちそう。

皆さんはこの映画をどのように解釈する?

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