年末年始新作映画9作品レビュー:「セッションズ」「鑑定士と顔のない依頼人」等々 9 New Movies Reviews - The Sessions, The Best Offer, Hobbit, etc.
◎ アメリカン・ハッスル(原題:American Hustle)★★★☆(5つ星中)
日本でも2014年1月31日から公開される。ゴールデングローブ賞に最多7部門でノミネートされてる話題の映画。
これまた実話に基づいた映画なのね。オフィシャルサイトにある以下の説明が全てを語ってる。
これは壮大なウソに基づいた真実の物語。天才詐欺師とFBI捜査官が手を組み挑む〈前代未聞のオトリ捜査大作戦〉。
僕が一番笑ったのは、ブラッドリー・クーパーのパンチパーマ。ちょうど「サタデーナイト・フィーバー」の頃(1970年代?)の設定で、衣装とか髪型がまさにその時代。イケメン俳優でバットマン役もしたことがあるクリスチャン・ベールですら、ハゲ(バーコード)でビール腹の役どころ(1月3日追記:これ彼の本物のお腹らしい。この映画のためにクリスチャン・デールは増量して肥満体型になったんだって。すげー)。希代のイケメン二人の変貌ぶりが見応えあり。
クリスチャン・ベールが天才詐欺師を、ブラッドリー・クーパーがFBI捜査官を演じてる。そしておとり捜査で彼らが騙す相手の一人にロバート・デニーロがちょい役で出演してるのだけど、マフィアを演じさせたら彼の右に出るものはいないね〜。
昔、映画『アンタッチャブル』でアルカポネ役を演じたデニーロを彷彿とさせる名演技。ロバート・デニーロが口を開くと、その場の空気が凍り付いたよ。彼の凄味ある存在感に、クリスチャン・ベールもブラッドリー・クーパーも映画の中でのまれてたね。格が違いすぎるわー。
ロバート・デニーロが登場するのは、物語の中盤の数分程度。だけど、ある意味、ここが映画のクライマックスだったかもしれない。
最後のどんでん返しも痛快。ただ、これも実話に基づいてるから、ストーリーに派手さはないね。天才詐欺師を取り込んで、FBIが政治家たちの収賄事件のおとり捜査をして彼らを逮捕するっていう話(そして伏線に恋の三角関係)だから、地味っちゃー地味かな。
◎ MUD-マッド-(原題:MUD)★★★☆
日本では2014年1月18日公開予定の映画。マシュー・マコノヒーがマッド(Mud)役。この日本版のポスターにあるように、「現代版、スタンド・バイ・ミー」っていうのがピッタリ。きっと、映画監督もそれを意識して作ってると思われる。
アメリカ南部、アーカンソーの川岸に暮らす14歳の少年エリスは、親友ネックボーンと出かけた川の中州でマッドという男と出会う。いわくありげで身を隠し て暮らしているマッドに興味を抱いたエリスは、次第に友情を育んでいくが、ある日、マッドがテキサスで人を殺し、警察や賞金稼ぎに追われているということ を知る。マッドは幼なじみで最愛の女性ジュニパーと再会することを夢見ており、年上の女の子に初恋中のエリスは、同情心から逃走の手助けをすることになる が……。(引用元)ただ、この映画も地味よ。僕も前評判を知らずに見始めたから、最初の20分くらいで退屈しちゃって、こりゃ、途中で寝るかも?っていうのが頭をよぎった。でも、少し頑張ってストーリーを追いかけてると、14歳の少年エリスの純粋さが魅力的(俳優さんもカワイイ)で、吸い込まれるようにストーリーに没頭。
上のストーリー説明では、14歳の少年エリスが、犯罪者の男マッドと「友情」を育んで、そして彼に「同情」していくってあるけど、僕はちょっと違うなと思った。
丁度、少年と大人の境目という14歳の少年が、逃亡犯の男(大人の男)に、理想の大人になることを諦めて欲しくないって思ったんじゃないかなぁ。エリスはとても正義感が強くて、しかもロマンチスト。年上の女性に恋をするけど、手のひらを返したような彼女の態度や、そして両親の不仲に傷つくことも。
そんな大人な男になりきれていないエリスだからこそ、「大人の男はこうあるべき」「真実の愛を貫いて欲しい」っていう、幼稚だけど純粋な理想を、逃亡犯の男に求めたんだと思う。
ゆっくりと流れるミシシッピー川のように、じわーっとくる物語。登場人物の微妙な心理描写や、心のひだが触れ合って共鳴するような文学的な作品が好きな人にオススメ。
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