すでに1万8000人以上の署名が集まってるそう。
この映画は、1969年にニューヨークで実際に起きたゲイたちの抗議運動がテーマで、アメリカでは今年9月25日に公開される予定。
当時、ニューヨークでは警察官たちによるLGBTへの暴行や差別がエスカレートし、それに憤ったゲイやレズビアン、トランスジェンダーたちが立ち上がったという事件。
そもそもこの「ストーンウォール事件」がきっかけになって、全米そして全世界のプライド・パレードが広まることになった。つまり、今あるLGBT運動の始まりはここにあったと言ってもいい。
詳しくはこうしたブログやネット記事で紹介されてます。
NY ゲイの歴史、ストーンウォールの暴動から45年
ストーンウォールの反乱
ゲイ用語の基礎知識『ストーンウォール事件』
同性結婚がアメリカ連邦法で認められることが決まった2015年に、現代史の中でLGBTの人権活動が始まったことを記念する映画が公開されるっていうのは、とってもタイムリーでめでたいことなんだけど、それにミソがついちゃった感じね。
なんでそもそもそんなLGBTの人権活動を讃える映画に、LGBTの人たちが反対しているかというと、ハリウッドが歴史を歪曲して表現してしまっていると非難されているから。
僕も知らなかったのだけど、ストーンウォール事件の中心的な人物たちは、有色人種やレズビアン、ドラッグクーン、トランスジェンダーたちで、いわゆる(ゲイ・ポノレノで主流の)白人ゲイ男性ではなかったんだって。
この記事にこんな証言がある。
ストーンウォール事件を体験した人たちからの多数の目撃情報によると、この暴動事件は有色人種のトランスジェンダー、ブッチ(男っぽい)レズビアン、ドラッグ・クイーン、ホームレスのクィア、セックスワーカー、そしてゲイ、バイ、パンセクシャルな人たちによって主に行われた。この事件の主要人物は白人ゲイ男性ではない。
Numerous eyewitness accounts from Stonewall veterans describe an uprising led and supported by transgender people of color, butch lesbians, drag queens, homeless queer folks, sex workers, and gay, bisexual and pansexual people. The main character in this story isn’t a white cis man.
だけど、映画『Stonewall』の約2分間の予告編が8月4日公開されると、そんな歴史的事実を歪曲して、中西部出身の白人ゲイ男性Dannyが主演でヒーロー的役割を果たすストーリー。
この写真の右側がDannyを演じるJeremy Irvine。
この写真のシーンは、抗議への機運が高まって、最初に(警察権力に)空き瓶を投げつける場面。これが暴動隆起の契機となる重要な瞬間。
ストーンウォール事件も、警察という公権力に最初は怯えて屈していたわけで、ペンギンの集団が海原に飛び込む態勢になっているとき、「押すな押すな」している状態みたいなもの。その状態で最初に海に飛び込んだ「ペンギン」を、白人ゲイ男性のDannyが演じてる。
だけど、実際に最初に空き瓶を投げたのはトランスジェンダーのSylvia Riveraと言われてるんだって。
ストーンウォール事件を主導したのは、Marsha P. Johnson、Sylvia Rivera、Ray Castro、Stormé DeLarverieっていう有色人種のトランスジェンダーやクウィアの人たちだったのに、この中で今回の映画に登場するのはMasha P. Johnsonだけの模様。
社会の隅に追いやられてきたLGBTたちが、人権侵害の撲滅と社会的平等な地位獲得に向けた活動なのに、それをテーマにした映画で、また有色人種やトランスジェンダーたちは隅に追いやられてしまうという二重被害が起きている。これに反対する人たちがボイコット活動を起こしているというわけね。
アジア人ゲイとして、僕もアメリカという社会では端に追いやられた存在だから、今回のボイコット運動の気持ちはよくわかる。自分たちのアイデンティティの重要な礎となってる歴史的事実を、こんなにwash out(白人化)して表現されたら、「自分たちの歴史が盗まれた」って思うよねー。
僕はボイコットせずにこの映画を見ると思うけど、見るときはちゃんと、本当の活動家たちは白人ゲイ男性じゃなくって、非白人のトランスジェンダーや、ブッチなレズビアン、ドラッグクイーンたちだったんだっていうのを意識して見ようと思う。
こちらが映画の予告編。
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